アフタヌーンティーはイギリス発祥の喫茶文化で、紅茶を楽しむ午後のひとときです。ホテのカフェやラウンジなどで、ちょっとしたご褒美や女子会として楽しむ人も多いのでは?
アフタヌーンティー自体は、さまざまな国にも広がり、内容や形を変えて楽しまれていますが、本場英国のアフタヌーンティーについて詳しくご存じでしょうか?
今回は、英国式のアフタヌーンティーについて、メニューやマナーなどを詳しく解説します。また、日本でも英国式アフタヌーンティーが楽しめるカフェやサロンもご紹介。
なんとなく楽しんでいたアフタヌーンティーも、本場英国の作法や歴史を知っていれば、さらに優雅なひとときになるかも…?
アフタヌーンティーの発祥は?
アフタヌーンティーは、イギリスで生まれたティータイム習慣。1840年頃に第7代ベッドフォード公爵フランシス・ラッセルの夫人であるアンナ・マリア・ラッセルによって始められたと言われています。
ランプの普及や夜の社交時間の習慣化によって、夕食が遅くなる傾向があった当時では、昼下がりの時間帯に空腹を感じることが多かったと言います。その空腹を苦痛に感じた夫人が、客人を招いて一緒にお茶を始めたことが始まりと言われています。
やがてこの習慣が貴婦人達の間で広まり、社交の場に。また19世紀後半には中産階級にも広がり、一般的な習慣となりました。
イギリスでは、今でもアフタヌーンティーを始めとしたティータイムの文化が広く根付いており、一日の様々な時間帯で紅茶を楽しむ習慣があります。
英国式アフタヌーンの要素
英国式アフタヌーンティーを構成する上で欠かせない要素とは何なのでしょうか。なんとなく知っている人も多いかもしれませんが、今一度詳しく解説します。
ティースタンド
アフタヌーンティーといえば、3段のティースタンド。最近ではその内容もさまざまになってきていますが、英国式アフタヌーンティーでは下から「サンドイッチ」「スコーン」「デザート」という構成が一般的です。
サンドイッチはキュウリのサンドイッチが伝統的。当時イギリスの気候では栽培しにくかったキュウリは、貴族としてのステータスの証であり、アフタヌーンティーでもよくキュウリのサンドイッチが出されていたと言います。そのため、現在でも伝統的な英国式アフタヌーンティーを提供するお店では、よくキュウリのサンドイッチが提供されます。
デザートは、ケーキなどの生菓子であることが多く、現在では一般的なケーキが選べたり、季節のフルーツを使ったデザートが提供されたりと、お店によってそのメニューもバラエティー豊富と言えるでしょう。
スコーン
スコーンは、英国式アフタヌーンティーの中でもこだわりとも言えるメニュー。本場英国式にこだわるお店では自家製で作っていることも多く、その質感や味はお店によって少しずつ異なるようです。アフタヌーンティーめぐりをしながら、お気に入りのスコーンを探してみるのも楽しそうですね!
そしてイギリスのスコーンといえば、欠かせないのかクロテッドクリーム。クロテッドクリームとは、バターと生クリームの中間のようなクリームのことで、バターよりもあっさりとしていながら生クリームよりも濃厚な味わいのクリームです。発祥のイギリス南西部では、2000年以上前から作られていたという歴史の深い食べ物でもあります。
日本ではなかなか手に入りにくい食べ物ですが、スコーンといえば欠かすことのできない存在。ジャムと一緒にたっぷりつけて食べるのがおすすめです。
紅茶
そしてもちろん大事なのが紅茶。アフタヌーンティーとしては、ホットでいただくのが一般的です。
紅茶は本当に奥深く、お店によってもさまざまな種類を楽しめるので、お店をめぐりながらお気に入りの一杯を探すのも楽しそう。お店独自のオリジナルブレンドのほか、ダージリンやアッサムなどの一般的な紅茶、イギリスブランドの紅茶など本当に種類が豊富です。
イギリス人はミルクティーも愛してやまないことから、イギリスの紅茶はミルクにも合うようにできています。そのためストレートで楽しむのはもちろん、2杯目はぜひたっぷりのミルクを入れてミルクティーとして飲むのがおすすめです。
お店によっては、ハーブティーやノンカフェインティーを揃えているお店もあるので、妊婦さんなどカフェインを摂取できない方は、事前にメニューを確認しておくとよいでしょう。
英国式アフタヌーンティーのマナー
本場英国では、アフタヌーンティーメニューを楽しむにあたっても基本的なマナーがあります。理解しておけば、より落ち着いて優雅な時間を楽しめるでしょう。
アフタヌーンティーの基本メニューを楽しむにあたって心得ておきたい基本マナーをまとめました。
食べ物の食べ方
まずティースタンドをメインとした食べ物のマナーです。ティースタンドは、食べる順番が決まっており、下から「サンドイッチ」「スコーン」「デザート」の順に食すことが一般的です。ピクルスやサラダなどのアミューズがある場合には、一番最初に食べましょう。
ティースタンドからお皿は外さず、ナイフとフォークを使って自分のお皿に取り分けながら食べます。基本的にはナイフとフォークを使って食べましょう。
スコーンやパンは、手でちぎって食べてOK。特にスコーンは、横にスライスするように上下に分けて食べるのがポイント。たっぷりのクロテッドクリームとジャムを一口分ずつつけて食べるのが上品です。
紅茶の飲み方
ティーウェアの扱い方に少しばかりマナーがあるため、心得ておくとよいでしょう。通常のテーブルの高さであれば、ソーサーは置いたままカップのみを持ち上げて飲みます。ローテーブルなど低いテーブルの場合には、ソーサーごと持ち上げて飲むのが上品です。
カップを持つ際は、持ち手には指をかけず、つまむようにして持つとさらに上品な印象に。反対側の手でカップを持ってしまうと「紅茶がぬるい」という意思表示になってしまうため要注意。
まぜる用のスプーンは、カップの向こう側に置くことでカチャカチャとカップを当たるのを防げます。まぜるときは、スプーンを上下にゆっくりと動かしながら静かにまぜましょう。
基本的には、ホスト側(スタッフさん)におかわりを注いでもらうのがよいですが、ポットごと提供されている場合には、自分で注いでもOK。飲み方に決まりはありませんが、イギリスの紅茶はミルクに合うように作られているものが多いので、1杯目はストレート・2杯目はミルクティーで飲むのがおすすめです。
服装のマナー
アフタヌーンティーとして、服装の決まりは特にはありません。
しかしホテルのアフタヌーンティーなどでは、避けたい服装が指定されていることがあり、本場英国のアフタヌーンティーでもフォーマルな場ではドレスコードが指定されている場合があります。
ホテルなど格式の高い雰囲気のアフタヌーンティーでは、以下のような服装を控えるよう言われることが多いです。
- ・露出が過度な服装
- ・カジュアルなジーンズやダメージジーンズ
- ・ビーチサンダルやサンダル
- ・男性の半ズボン
女性であれば、ブラウス+スカート、ワンピース、フォーマルなジャケット、パンプスなど、男性であれば、シャツ+ジャケットをベースに考えるとよいでしょう。
もちろんアフタヌーンティーの場所によって服装の決まりは異なるため、あらかじめチェックしておくことがおすすめです。ドレスコードも大切ですが、ちょっとおしゃれをしておでかけする気持ちを楽しみながら、その場に合った服装を考えるのがよいでしょう。
英国式アフタヌーンティーが楽しめるお店
今ではさまざまな場所でアフタヌーンティーを気軽に楽しめますが、「英国式」にこだわっているお店は意外と多くないかもしれません。ここでは英国式にこだわったアフタヌーンティーを提供しているお店を紹介します。
イギリスブランドの紅茶を扱っていたり、イギリス雑貨やインテリアで統一されていたりと、本場英国の雰囲気を存分に楽しめるアフタヌーンティーです。
東京|帝国ホテルインペリアルラウンジ アクア
歴史ある格式高い帝国ホテルのバーラウンジ「インペリアルラウンジ アクア」は、木を基調としたブリティッシュスタイルのインテリアが特徴的で、重厚感のある優雅な時間を楽しめます。
季節に合わせたサンドイッチやデザートとともに、バリエーション豊かな紅茶やハーブティー、コーヒーを楽しめます。旬の果物はもちろん、ときにはキャラクターとコラボしたアフタヌーンティーメニューは必見!
日比谷公園の緑を眺めながら、心地よい優雅な時間を楽しめる贅沢なアフタヌーンティーです。
東京|ホテル椿山荘ル・ジャルダン
1990年代に東京のホテルで初めて本格的なアフタヌーンティーをご提供したといわれているホテル椿山荘の「ル・ジャルダン」。伝統的なスタイルはそのままに旬の素材をふんだんに盛り込んだ季節感のあるアフタヌーンティーが魅力です。
グリーンを基調とした店内は、庭園の中にいるかのような非日常的で幻想的な空間。スコーンとクロテッドクリームは自家製のオリジナルで、紅茶の味を引き立てます。
お昼間はアフタヌーンティーを楽しめるだけでなく、夜はハイティーも楽しめます。ローストビーフなどのお肉やシャンパンが付いたボリューム感のあるハイティーは、男性とのデートにも最適。椿山荘ならではのお庭も一緒に楽しみながら、ステキなティータイムを楽しめます。
東京|タイニートリアティールーム
東京日本橋にある「タイニートリアティールーム」は、本場英国式に倣ったブリティッシュスタイルのティールーム。ほっこりとあたたかみのあるブリティッシュ調のインテリアや雑貨に囲まれたかわいらしいお店です。
予約なしで楽しめるカジュアルアフタヌーンティーや、季節に合わせて期間限定で提供されるアフタヌーンティーがあり、どちらも本格的な英国式のティータイムを楽しめます。イギリスの老舗茶商「テトリー」や「テイラーズオブハロゲイト」を始め、こだわりの茶葉を取り揃えており、本場と同じ味を満喫できる点もポイント。
アフタヌーンティーの他にも、イギリスのパンケーキ「クランペット」やプディングの王様とも言われる「スティッキー・トフィ・プディング」など、イギリスならではのメニューも豊富です。
東京|スリーティアーズ
東京都目黒の登録有形文化財でもある洋館でアフタヌーンティーが楽しめる「スリーティアーズ」。80年以上前に建てられた歴史ある洋館は、木のあたたかみと赤のシックさが際立つ大人の雰囲気が漂います。
イギリス式にこだわったアフタヌーンティーを提供しており、すべてのメニューにおいてその分野のエキスパートが監修しています。紅茶はスリーティアーズのオリジナルブレンドのほか、イギリスブランドでは、「カメリアズティー」や「SUKIティー」などが楽しめます。
本格的なメニューだけでなく、その由緒ある建造物にもうっとりしながた優雅な時間を楽しめるティーサロン。お値段は気軽とはいい難いかもしれませんが、特別な日のティータイムに訪れたいお店です。
大阪|北浜レトロ
大阪北浜にある「北浜レトロ」は、1912年に建てられたレンガ造りの建物を改築してオープンした紅茶専門店。建物の「北浜レトロビルヂング」は国の登録有形文化財にも指定された歴史ある建造物です。
かわいらしいイギリス雑貨やインテリアに囲まれた店内の2階でアフタヌーンティーを楽しめます。伝統的なキュウリのサンドイッチや、クロテッドクリームとジャムのスコーンといった英国式のスタンダードなアフタヌーンティーです。ケーキやスコーンはその日のラインナップから選べる点もうれしいポイント。
紅茶専門店ならではのバラエティー豊富な種類から選べ、いつ来ても新鮮!紅茶だけでなく、ハーブティーやノンカフェインティーの種類もたくさんあるので、カフェインを飲めない方でも十分に楽しめます。1階では、ケーキや雑貨の販売も。予約が早く埋まってしまうようなので、お休みの日は特に早めに予約するのがおすすめです、
大阪|London Tea Room 堂島本店
「London Tea Room」は、1983年にオープンにした紅茶専門店。堂島と阪急百貨店メンズ館の2店舗を構えていますが、アフタヌーンティーを楽しめるは堂島本店のみ。イギリスの家庭的なミルクティーにこだわりを持ったお店です。
伝統的なアフタヌーンティーメニューとともに2種類の紅茶をじっくりと楽しめます。イギリス同様、ミルクに合うよう作られた紅茶は、ストレートはもちろん、ぜひミルクティーでも楽しみたいところです。スコーンは、コッツウォルズ村のお婆さんから教わったオリジナルレシピで作られており、昔懐かしさを感じさせるシンプルな家庭の味。ジャムとクロテッドクリームがよく合います。
豊富な紅茶は、店頭はもちろん、オンラインでも購入可能。クラシックなアンティークティーウェアも実際に見ながら購入できます。定期的に紅茶教室も開講しており、紅茶のすべてが詰まったお店です。
自宅で英国式アフタヌーンティーを楽しむなら?
英国式アフタヌーンティーは、お家でももちろん楽しめます。お家時間が増えている昨今、少し手間と時間をかけてオリジナルのアフタヌーンティーをゆっくりと楽しむのもよいかもしれません。
先述した通り、英国式アフタヌーンティーでは、ティースタンド・紅茶・スコーンが重要な要素です。これらを揃えることができれば、立派な英国式アフタヌーンティーと言えるでしょう!
- ・お気に入りデザインのティースタンドを用意
- ・おしゃれなティーウェア一式をそろえる
- ・好きな紅茶やフレーバーティーを用意
- ・スコーンやジャムを手作り(クロテッドクリームを忘れずに)
- ・お気に入りのお店のケーキをテイクアウト
- ・本場英国式にならってキュウリのサンドイッチを手作り
などなど、自分できることから揃えてオリジナルのアフタヌーンティーを自宅で楽しむのもいかがでしょうか。
カフェインが体質に合わない方や妊娠中の方は、カフェインレスの紅茶やハーブティーを用意するなど、自分に合わせてメニューを変えられるのもお家アフタヌーンティーのいいところ。お友達同士でお菓子やケーキを持ち寄ってみんなで過ごすのも楽しいですね!
なかなか近くにアフタヌーンティーを楽しめるお店がなかったり、頻繁にホテルアフタヌーンティーに行くにはお金がかかったりということもあるでしょう。アフタヌーンティーを構成しているものは、実はお家でも手軽にそろえられるものばかり。こだわって準備することから楽しめるお家アフタヌーンティーは、また違った魅力があるはずです!
英国式アフタヌーンティーで優雅な時間を
アフタヌーンティーのお店はたくさんあり、今ではどこでもさまざまなメニューのアフタヌーンティーを楽しめますが、時にはイギリス気分に浸りながら本格的な英国式アフタヌーンティーを楽しんでみるのもいいですね。
特にスコーンは、英国式アフタヌーンティーでは欠かせない要素の一つ!たっぷりのクロテッドクリームとジャムをつけて、食べるのがおすすめです。
ちょっとした贅沢としてホテルやカフェで楽しむことが多いかもしれませんが、アフタヌーンティーのメニューはお家でも用意できるものばかり。こだわりのティーウェアとおいしいスイーツやスコーン、そして紅茶を揃えれば、お家でも気軽に楽しめます。ゆっくりとお家時間を楽しみたいときにも最高です。
もちろん本記事でも紹介したサロンやラウンジでも、本格的な英国式アフタヌーンティーが楽しめます。女子会やデートに、ちょっとした贅沢に、ぜひ気軽におでかけしてみてください!